瀬織津姫に会える神社|瀬織湯姫と龍神、天照大神を祀る神社めぐりのブログ

縄文の女神“瀬織津姫”と龍神を祭神として祀る神社や、天照大神と縁ある神社・場所を訪ね歩いた日々の記録です。

瀬織津姫に会える神社|瀬織津姫の母神を祀る岩手県遠野市「伊豆神社」

遠野三山伝説は、瀬織津姫の親神を祀るここ「伊豆神社」から。

伊豆神社拝殿

伊豆神社拝殿

瀬織津姫を祀る神社として花巻市大迫町と遠野市附馬牛(つきもうし)町にある「早池峰神社」はよく知られていますが、その“母神を祀る神社”があるのはご存知でしょうか?

母神とはどんないわれのある神様なのか? なんというお名前の神社なのか? どこにあるのかなどをご存知でしょうか?

その神社こそ、遠野市上郷町来内にある「伊豆神社」で、獅子頭を御神体としています。
「伊豆神社」は遠野市街地から238号線を約6.3Km南下した、権現バス停の少し南にあります。

大同年間に早池峰山を開山した始閣藤蔵が厚く信仰した神社で、江戸時代までは伊豆権現と呼ばれ、早池峰権現の親神とも呼ばれていたようです。

伊豆神社由緒書より

伊豆神社の由緒

伊豆神社の由緒

御祭神は“瀬織津姫命”、俗名おない。

遠野三山(早池峰山、六角牛山、石上山)の守護神の母神。
例祭日が現在では十月の第四日曜日と改められた。

坂上田村麻呂が延暦二年(西暦七八三年)に征夷大将軍に任命され当地方の征夷の時代 に此の地に柘植の一手段として一人の麗婦人が遣わされ、やがて三人の姫神が生まれた。
 三人とも、高く美しい早池峰山の主になることを望んで、ある日この来内の地で母神の「 おない」と三人の姫神たちは、一夜眠っている間に霊華が胸の上に授かった姫神が早池峰 山に昇ることに申し合わせて眠りに入った。

伊豆神社の鳥居

伊豆神社の鳥居

夜になって聖なる花が一番上の姉の姫神にあ ったのを目覚めた末の姫神がみつけそっとそれを自分の胸の上に移し、夜明けを待って早池峰山に行くことになり、一番上の姫神は六角牛山へ(石神山へとの説もある)二番目の 姫神は石神山へとそれぞれ別れを告げて発って行った。
此の別れた所に神遣神社を建立し て今でも三人の姫神の御神像を石に刻んで祀っている。
とあります。

伊豆神社の参道

伊豆神社の参道は山道でした。

階段と拝殿

階段を昇るとそこが拝殿

瀬織津姫の物語「エミシの国の女神」

遠野三山の主を決めた“遠野三山伝説”の舞台がこの「伊豆神社」で、末の姫が早池峰山の姫神となった話は柳田國男著「遠野物語(第二話)」に記されており、「大昔に女神あり・・・」の書き出しは良く知られています。

 

菊池展明(きくちのぶあき)氏著「エミシの国の女神」にも「早池峰神社」「伊豆神社」等について詳しく書かれていますので機会がありましたらお読み下さい。

 

「エミシの国の女神」ではこの「おない」さんについて、「拓殖婦人」ではなく安倍宗任(むねとう)の妻で三人の娘の名は「おいし」「おろく」「おはつ」であったという異伝があったとも。

伊豆神社拝殿

伊豆神社拝殿

また遠野盆地では早池峰神社を含め、五つの神社が瀬織津姫を祀っており、猿ヶ石川源流部にある又一(またいち)の滝や不動滝などの滝神としても伝えられていることなどを、さらに笛貫(ふえぬき)の滝や魚止の滝などの滝神としてもこの女神は随所に登場するといいます。

 

これまで瀬織津姫を祀る神社を訪ね、大迫町の早池峰神社、遠野市の早池峰神社、宮古市川井の早池峰神社を参拝してみると、遠野郷ー早池峰郷でかくも多く祀られている「瀬織津姫」は、やはり縄文の女神、エミシの女神なのだろうと思いました。